実際の作業ぶりを解析するA検査から、知的能力や自己意識を測定するB/C検査にいたるまで、それぞれの検査法の特長を活かし、幅広い領域を解析対象としています。さらに、それらの解析結果を組み合せることにより、単一の検査法では得られない付加価値の高い情報を、2つのマップ(「能力バランスマップ」と「ストレスマップ」)によって表示します。事前の対策や主観に左右されない採用選抜、職場不適応を予防するメンタルケアの面で、人事教育をバックアップするツールです。
一般に作業検査法とは、一定の時間、同じ作業を継続的に行わせて、その反応ぶりを解析する手法で、作業として足し算をさせるクレペリン検査がその代表です。受検者の主観に左右されず、実態を把握しやすいメリットがありますが、昨今、不確かな情報をもとに、受検対策として作業そのものを操作するケースが見られます。
ところが、S‐TATでは、図形を使った作業を採用することにより、同じ作業検査であっても、好ましいプロフィール(1行ごとの作業量の増減によって作られる型)を想定することができません。かつ、マークシートを導入することによって、受検者が自分のプロフィールを把握できないため、受検中に結果を操作することが極めて困難になっています。
S-TATは、A検査において一定の作業負荷(擬似ストレス)を受検者に与え、そのもとで働く心の機能レベルを解析します。これを「仕事ぶり資質」と呼んでおり、実際の仕事における働きぶりや、その結果を左右する基本的な資質となるものです。また、環境への適応についてはストレスへの耐性となる、大変重要な資質です。
自己診断(アンケート形式)によるストレスチェックだけでは、職場不適応の予防は十分ではありません。
S-TAT[エスタット]は、作業検査(A)を通して実際のストレス耐性を測定し、なおかつ質問紙検査(C)による自己意識面から「ストレスの感じやすさ」を同時に測定します。
この、本質的なストレス耐性と、ストレスの感じやすさのバランスを「ストレスマップ」で表示しています。現在本人がおかれているストレス状態を把握することができます。
図1に示すように、ストレスとストレス耐性の関係は、ダムの水量と堤防の関係に例えることができます。ここで言うストレスとはダムの水量、ストレス耐性が堤防にあたります。
ダムにある程度の水量(ストレス)があっても、それに耐えられるだけのしっかりした堤防(ストレス耐性)があれば、普段と変わりなく仕事をこなすことができます。
ただし、図2のようにダムの堤防が低かったり(ストレス耐性が乏しかったり)、大量の水(過度なストレス)が襲いかかってきたときは、水が堤防を乗り越えてあふれ出してしまうことがあります。すなわち、過度なストレスに耐えられず、日常の仕事にも支障をきたしやすく、ストレス症状が現れやすい状態になるのです。
採用選抜では、A/B/C検査のフル版をお勧めします。作業検査(A)+能力検査(B)+質問紙検査(C)がセットになったオールインワンのアセスメント。ABC検査を単体で測定するとともに、各々を関連づけてより立体的に解析し、「知っている」「知識がある」だけでなく、実際に「できる」人財選抜を目指します。受検者の心+頭+働きぶりを一度に把握し、限られた時間であっても社会人として必要な能力をトータルに評定したい場合にご活用下さい。
入社後のメンタルヘルス対策、ストレスマネジメントには、A/C検査をお勧めします。ストレスへの耐性といった資質面を作業検査(A)から、ストレスに対する自覚や捉え方といった意識面を質問紙検査(C)から把握し、客観的な裏付けをもったストレスの許容量を解析します。 自己申告による主観と検査から見られる客観的な資質を比較することで、受検者のストレス・リスクを的確に見極めます。セルフケアの第一歩、気づきのためのツールとして、またメンタルヘルス研修などでもお役立て下さい。
対象 | 新卒・中途採用の応募者 | |
検査時間 | 約80分 | |
結果表 | 個人別結果表(指導用)と結果一覧表 ※オプション:AC版本人用個表 | |
解析内容 | 仕事ぶり資質 | 仕事ぶりを左右する基本的な心的機能の側面で、作業負荷にはストレス耐性となるもの ※下位尺度 処理力・確実性・習熟力・安定性 |
---|---|---|
知的基礎面 | 多くの職務に共通して認められる、一般的かつ基礎的な知的能力の側面
※下位尺度 基礎言語力・基礎計数力・応用展開力 |
|
自己意識面 | 仕事に向かう意識や自己認識の方向性を探るもので、優劣の評価はない
※下位尺度 仕事への指向(5指向)、ストレスの自覚(6反応) |
|
職務適性 | 10項目の職務内容について適性を4段階で表示 |
対象 | 正規社員・職員及びそれに準ずる者 | |
検査時間 | 約52分 | |
結果表 | 個人結果表(本人用)と結果一覧表 ※オプション:指導用個表 | |
解析内容 | パフォーマンスレベル | 仕事ぶりを左右する基本的な心的機能の側面で、上記の(仕事ぶり資質)と同じもの ※下位尺度 量をこなす速さ・取組みの正確さ・習熟する円滑さ・安定感の高さ |
---|---|---|
ストレスの自覚レベル | 現在のストレスの程度や現れやすい反応をみたもの
※下位尺度 M反応・H反応・N反応・D反応・E反応・A反応(6反応) |
|
仕事への指向 | 仕事に向かう意識や認識の方向性をみたもの
※下位尺度 リーダー指向・アクティブ指向・クリエイティブ指向・ルーティン指向・チームワーク指向(5指向) |